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ガントチャートにおける4つの代表的な依存関係タイプ

ガントチャートにおける4つの代表的な依存関係タイプ「Start-to-Start(SS)」「Finish-to-Finish(FF)」「Start-to-Finish(SF)」「Finish-to-Start(FS)」について詳しく解説し、それぞれの違いや活用方法を紹介します。

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前回の記事では、ガントチャートの基本概念や構成要素について紹介しました。その中でも「タスクの依存関係(Dependencies)」は、プロジェクト進行において特に重要な要素のひとつです。 ガントチャート上で依存関係を視覚的に表現することで、タスクの開始・終了タイミングを明確に把握でき、プロジェクト全体の流れを効率的に管理することが可能になります。

本記事では、ガントチャートにおける4つの代表的な依存関係タイプ「Start-to-Start(SS)」「Finish-to-Finish(FF)」「Start-to-Finish(SF)」「Finish-to-Start(FS)」について詳しく解説し、それぞれの違いや活用方法を紹介します。

ガントチャートにおける依存関係とは

プロジェクトマネジメントでは、プロジェクトを複数の小さなタスクに分解して管理するのが一般的です。これらのタスクの多くは相互に関連しており、あるタスクが完了しなければ次のタスクを開始できない場合があります。 このようなタスク間の関係性を定義するのが「依存関係(Task Dependencies)」です。つまり、あるタスクの開始や終了が別のタスクにどのような影響を与えるかを示します。

ガントチャートでは、これらの依存関係が矢印で視覚的に表現されます。タスクバー同士を結ぶ矢印によって、どのタスクがどのタスクに依存しているかが一目で分かるようになっています。これにより、プロジェクトマネージャーはスケジュール全体を俯瞰し、重要なタスクを特定したり、必要に応じて調整を行うことができます。

依存関係を理解することの重要性

ガントチャートは、プロジェクト全体をタイムライン上で可視化できる便利なツールです。しかし、タスク数が多い大規模プロジェクトでは、どのタスクを優先すべきか判断が難しくなることがあります。 タスクが単純な直列構造で進むとは限らず、同時進行が必要な場合や、他タスクの完了を待ってから始める必要がある場合もあります。さらに、複数のリソースが関わる中で優先順位を誤ると、無駄な待機時間やリソース競合が発生してしまいます。

依存関係を正しく理解することで、以下のような効果が得られます。

✅ 正確なスケジュール作成

各タスクの依存関係を明確にすることで、より現実的で正確なスケジュールを作成できます。 遅延のリスクを事前に把握し、柔軟に調整することが可能になります。

✅ 効果的なリソース配分

どのタスクを完了させてから次に進むべきかが明確になるため、チームの稼働率を最適化できます。 過剰な負荷や待機時間を減らし、生産性を最大化できます。

✅ リスク管理の強化

依存関係を把握しておくことで、ボトルネックとなる箇所を早期に発見できます。 これにより、リスクを最小限に抑え、プロジェクトを円滑に進められます。

✅ チーム間の連携強化

タスクの前後関係が明確になることで、メンバー全員が自分の役割や責任を理解しやすくなります。 結果として、コミュニケーションが円滑になり、チーム全体の効率が向上します。

✅ プロジェクト進行の可視化

依存関係を設定することで、進捗状況を容易に追跡できます。 遅延や優先タスクを迅速に把握し、適切なタイミングで対応が可能です。

ガントチャートにおける4種類の依存関係

依存関係には、主に以下の4種類があります。それぞれの仕組みと具体例を見てみましょう。

4 Types of Task Dependencies in Gantt Chart

1. Finish-to-Start(FS)

最も一般的なタイプで、「前のタスクが完了してから次のタスクを開始できる」という関係です。

例: ウェブサイト開発では、デザインが完了してからコーディングを開始します。 Task A(デザイン)が終了 → Task B(コーディング)が開始。

このタイプは、論理的なプロジェクトフローを維持するのに適しています。

2. Start-to-Start(SS)

2つのタスクが同時に開始できる関係です。ただし、終了タイミングは異なっても構いません。

例: 製品ローンチにおいて、マーケティング素材の制作と営業チームのトレーニングを同時に開始する。 Task A(マーケティング素材作成)と Task B(営業トレーニング)は同時にスタート。

並行して進めることで、全体スケジュールを短縮できます。

3. Finish-to-Finish(FF)

2つのタスクが同じタイミングで完了する必要がある関係です。

例: イベント運営では、会場設営とケータリングの準備がどちらもイベント開始前に完了している必要があります。 Task A(会場設営)と Task B(ケータリング)は同時に完了。

この関係を設定することで、関連タスクを適切に同期できます。

4. Start-to-Finish(SF)

最も珍しいタイプで、「あるタスクが開始されるまで別のタスクを完了できない」という関係です。

例: シフト勤務の場合、次の勤務シフトが開始されるまでは現在のシフトを終了できません。 Task A(新シフト開始)が Task B(現行シフト終了)をトリガーします。

主に引き継ぎや連続稼働が求められる業務で用いられます。

ガントチャート上で依存関係表示

1. 矢印によるタスクのリンク

多くのガントチャートツールでは、依存関係をタスクバー同士を結ぶ矢印で表現します。 たとえば、Task A が完了してから Task B を開始する場合(FS関係)、Task A のバーの終点から Task B の始点へ矢印を引きます。

TaskFord、Microsoft Project、Asana などのツールでは、ドラッグ&ドロップで簡単に設定可能です。

依存関係タイプ矢印の向き
FS(Finish-to-Start)Aの終点 → Bの始点
SS(Start-to-Start)Aの始点 → Bの始点
FF(Finish-to-Finish)Aの終点 → Bの終点
SF(Start-to-Finish)Aの始点 → Bの終点

2. ラグ(Lag)とリード(Lead)の設定

依存関係の間に待機期間(ラグ)や前倒し期間(リード)を設定することもできます。

  • ラグ(Lag): 前のタスク完了後、一定期間待って次を開始する。 例:Task A完了後、3日後にTask B開始 → 「+3d」
  • リード(Lead): 前のタスク完了前に次のタスクを前倒しで開始する。 例:Task A完了の2日前にTask B開始 → 「-2d」

TaskFordなどのツールでは、これらを数値で設定するだけでスケジュールが自動調整されます。

3. タスクIDによる依存関係設定

ツールによっては、矢印ではなくタスク番号(ID)で依存関係を設定する方法もあります。 例えば、「7番のタスクが5番に依存する(Finish-to-Start)、2日間のラグがある」場合は次のように入力します。  

5FS+2d

これにより、Task 7 は Task 5 が完了してから2日後に開始する設定となります。

まとめ

ガントチャートの依存関係を理解・管理することは、プロジェクトを予定通り進める上で欠かせません。 4種類の依存関係(FS/SS/FF/SF)を適切に使い分けることで、タスクの流れを最適化し、スケジュール全体を効率的にコントロールできます。

TaskFordのようなツールを活用すれば、依存関係設定、ラグ/リード調整、自動スケジューリングなどが簡単に行え、より精度の高いプロジェクトマネジメントが可能になります。

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