請求可能工数とは

請求可能工数は、サービス提供型ビジネスが収益を得る仕組みの中心にあります。これは、クライアントへ直接請求できる業務に費やした時間を指します。一見シンプルですが、何が請求対象になるのか、どのように記録するのか、そして事業運営に必要な非請求業務とのバランスを取ることは容易ではありません。

請求可能工数とは

請求可能工数とは、プロジェクト作業やクライアント会議など、契約に基づき請求対象とできるタスクに費やした時間です。タイムシートやプロジェクト管理ツールで記録され、請求サイクル終了時に時間単価を掛け合わせる、または固定費に含めることで請求金額が算出されます。

請求可能工数が重要な理由

請求可能工数は、時間がどれだけ収益へ転換されているかを示す重要指標です。正確な管理によって、クライアント業務への工数配分、価格設定の精度、キャパシティ計画の改善が可能になります。

また、どこに予算が使われているのかを明確化し、クライアントとの信頼関係強化にもつながります。

請求可能工数が重要な主な理由

• 正確な請求と課金を実現し、過少請求やトラブルを回避
• 業務効率改善と生産性向上を促進
• 効果的なリソース配分で収益性向上
• 高い請求比率が財務の健全性を強化

請求可能工数と非請求工数の違い

すべての業務が請求対象になるわけではありません。 正確な工数管理、価格設定、利益確保のためには、両者の明確な区別が必要です。

請求可能工数

クライアント業務に直接結びつく時間

例：

• プロジェクト作業
• クライアント会議・コンサルティング
• 案件に必要な調査・設計・制作
• 契約範囲内の改修

非請求工数

社内業務など、収益を直接生まない時間

例：

• 社内ミーティング
• 研修・オンボーディング
• セールス/マーケティング活動
• 内部管理業務

⚠️ 契約内容により分類が変動する場合あり

業界別の請求可能工数の例

コンサルティング

• 調査10時間 + 会議5時間 = 15時間請求

IT・ソフトウェア開発

請求対象：コーディング / テスト 非請求：一般研修

マーケティング・広告

• 戦略設計
• クリエイティブ制作
• 広告運用

→ 全て請求対象

法律サービス

例： 調査3h + ドラフト5h + 会議2h = 10h請求

プロジェクト管理

• クライアント調整：請求対象
• 社内調整：非請求

請求可能工数を正確に管理するためのルール

1. 請求対象基準を明文化

メンバー間の認識統一

2. 工数はリアルタイムに記録

後回しは漏れの原因

3. 記録単位の統一

6/10/15分単位など

4. タスク内容を明確に記録

透明性向上、請求根拠の確保

5. 定期的な監査で精度維持

6. 専用ツールの活用

例：TaskFord → 自動化・精度・一貫性向上

請求可能工数を最大化するベストプラクティス

1. クライアントとの明確な合意形成

• 請求可否を契約書に明記
• スコープ・予算を事前に説明

2. 非請求工数の削減

• 無駄な内部作業を排除
• スケジューリング・請求業務を自動化

3. 利用率（稼働率）管理

目安： 70～80%

計算式： 請求可能工数利用率 ＝ 請求可能工数 ÷ 総労働時間 ×100%

4. 請求レビュー・承認フロー導入

ミスやスコープ外工数を防止

5. 予算との整合性管理

超過前にクライアントへ説明

6. 高い透明性の維持

項目別請求書・予実共有で信頼強化

まとめ

請求可能工数の適切な管理は、収益性を高め、業務効率と透明性を強化します。 正確な記録とデータ活用により、ビジネスは長期的な信頼と安定を築くことができます。

請求可能工数と非請求工数を上手にバランスさせ、事業成長につなげていきましょう。